〜チームワーク研修「ドラマロールプレイ」にかける日テレ社員の想い〜

始まりは「学校を作りたい」という社員の企画からでした。

今、テレビは大きな変革を求められる時代になっています。これまで培ってきたテレビの番組制作だけではなく、新たな事業にもどんどんとチャレンジしていく姿勢が求められています。

そんな状況を受け、日本テレビでは、2015年に社内インキュベーション制度が立ち上がりました。新しい事業アイデアがあれば誰でも提案できる制度です。

初回募集では、180件もの企画が集まり、約10件の事業企画を採択、すでに、新会社を設立した事業もあり、eスポーツ、Vtuberなどの事業も始まりつつあります。

その中の一つが「日テレHR」(教育研修事業)です。

当時、インキュベーション制度の立ち上げを担当していた大澤の目にとまったのが「学校をつくりたい」という企画でした。

その企画書には「なぜ生まれてきたのかがわかる学校」と書いてありました。

大澤弘子のプロフィール

  • 1992年日本テレビ放送網入社。
  • 番組制作に20年以上従事。
  • バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組等、幅広いジャンルの番組を企画・制作。
  • 2016年、経営企画部門へ異動。
  • 中期経営計画策定、MA等を経験し、社内インキュベーション制度を立ち上げ。
  • 支援した10数本の新規事業がスタートを切っている。(うち3件が新会社設立)

日テレでは、以前から教育関連の事業提案が度々ありました。

例えば、アニメキャラクターを活かした知育玩具開発や託児所、幼児向けプレスクールなどです。

でも、テレビ局にとっては専門家の力を借りないとまったく知見のない領域。インキュベーション制度の選考委員たちの頭にはピンと来ませんでした。

一方で、長年のテレビ制作を通じて

「多様の思いや専門性をもった人間が集まって、1つのチームをつくり、放送するごとにPDCAを回していっているテレビ制作の知見の中には、他の会社の組織づくりや企業活動をよりよくすることに活かせるのではないか」と感じていました。

30年前から、多様な人間の協働をし続けてきた番組制作のノウハウ

番組制作には7080人くらいの多様な人間が関わっていますが、そのうち日本テレビの社員は12名です。

小さな制作会社の経営者が自らプロデューサーとして現場に入っている例もあれば、大手の派遣会社から派遣されてきたテレビ制作未経験者もいます。職種も、著名人の出演者、そのマネージャー、所属事務所の社長、スタイリスト、メイク、音声マン、大道具、美術、照明マン、カメラマンなどなど、育った環境も社会人経験も、仕事への価値観も違う人ばかり。性別も年齢も様々ですし、新人もいればベテランもいます。

プロデューサー、ディレクターと呼ばれるリーダーが中心となって、これら様々な専門家の力を結集し、「面白い番組をつくる」という1つの目的に向かって走っていきます。

高視聴率番組、長寿番組の制作チームには、よく観察すると共通点があります。結束力が強く、雰囲気もよく、新人であろうと自分の考えを自由に発言できる「安心・安全な場」が存在しており、一人一人が自分らしく、チームの一員であることに誇りのようなものを感じつつ仕事をしています。

大澤は、こういったノウハウをきちんと体系立ててみたいと思うようになりました。

テレビマンの協働ノウハウを分析し、世の中に役立つメソッドへ

大澤の中で転機が訪れたのは出産し母親になった時でした。

「社内でも20代前半の若い世代との価値観ギャップも感じる年齢になってくるとともに、若い世代のキャリア支援というものに興味を持つようになりました」。その頃、出会ったのがキャリアコンサルタントや教育コーチングです。

人が自分らしく生き生きと幸せに生きることを学問として研究されている慶應義塾大学大学院の前野隆司教授をはじめ、各企業のHR担当者の皆さん、中高大学におけるキャリア支援をされている方々など、様々な方とのご縁を得て、「成果を出すチーム」の特徴や条件について分析を進めています。

「テレビ番組をつくっている日本テレビが、なぜHR?」と不思議に思われる方もいるかもしれませんが、番組制作というチーム活動を通して、プロジェクト型組織、ダイバーシティの組織が、最大の成果をあげる仕組みを整理してみようと思ったのが始まりです。

大澤弘子の人材育成・実績

  • 日本テレビ学校向け教材設計・ファシリテーター

  ~中高大生向けアクティグラーニング、キャリア教育プログラム(日テレEdu.

  • 国家資格キャリアコンサルタント

  ~大学生・若手社員支援・女性キャリア支援

  • 一般社団法人日本青少年育成協会教育コーチ

  ~個別・グループコーチング

  • 学びの道教育研究所講師

  ~保護者向けコーチング 

テレビ制作の現場から生まれた「ドラマロールプレイ」の誕生

前出の慶應義塾大学大学院・前野教授は「チームのモチベーションを上げたい時は、議論よりの対話の方が重要です。議論というのは問題を明確化するにはいいのですが、幸せに活動するためには対話が重要なのです。」とおっしゃいます。

「ドラマ」には、対話を誘発するパワーがあります。

お茶の間や、学校、職場で話題になるようなドラマ作りを何十年も行ってきた日本テレビの製作力を活かして、視てくださった人が隣に座っている人と、感じたこと、考えたことを伝え合いたくなるようなドラマをベースにしたプログラムを考えました。

ディスカッションや対話を中心にした研修を構築するために、土台となるよう生み出した研修用ドラマです。日本テレビが培ってきた、見てくださった人の感情を動かし「人に楽しんでもらう」というノウハウを最大限活かしたドラマとなっています。

研修用ドラマは、原案を前野教授とプロジェクトメンバーで考え、再現ドラマのプロフェッショナルチームを編成。ディレクターや脚本家、ドキュメンタリー番組の構成作家や制作フタッフ、演芸の作家など、地上波テレビのトップクリエーターが集まり、テレビと遜色ないクオリティで制作しました。

こうして生まれたのが、20182月にリリースされた学校向けプログラム、「みんなのドラマ」です。

企業向け研修にも有効なことがわかり研修プログラムをリリース

実は、このプログラムにアレンジを加えたものが、日テレホールディングスグループ各社の合同新入社員研修にも採用されました。

社会人で実施してみて、面白いことがわかりました。

それは、入社式を終えたばかりでまだ仕事をしていない各社の新入社員に、すでにその会社の「社風」のような気質がはっきりとみられたことです。採用の過程で、自ずと自社の社風にあっている人材を、各社が見抜いているのかもしれません。

社員は企業のカラーに染まるとよく言われますが、形のない「企業の色」「社風」は、実はコミュニケーションの取り方によって作られているのではないかと思います。

社員同士のコミュニケーションが変われば、社内の空気が変わる。するとこれまでうまくいかなかったこともスムーズに一致団結して突破できたり、風通しのいい情報交換や、日常的な雑談から、異能が組み合わされて思わぬイノベーションが起きる可能性があがります。

部署、プロジェクト等、職場では誰もが、なんらかのチームの一員です。そこで成果の出るチームがたくさん生まれれば、会社の業績は必ず上がる。成果の出るチームになるための対話の力を持った人が増えれば、会社の未来をつくる研修になるのではないか。

そうして、企業向け研修「ドラマロールプレイ」が生まれたのです。

議論を楽しく、そして建設的にする「ディスカッションメソッド」の確立

効率的に会議を進めるスキル研修は、すでに世の中に複数の優れたものがあると思います。

ですが、前野教授が「議論というのは問題を明確化するにはいいのですが、幸せになるためには向いてないのです。」とおっしゃるように、効率的な会議運営スキルだけでは、成果の出せるチームは出来上がらない。

私たちは前野教授とともに、議論を「楽しく」しながらも「建設的」にするディスカッションメソッドを確立しました。

近年、グローバルに業績を上げる企業が、人材育成プログラムとして注目しているのは、ポジティブ心理学によるものです。ポジティビティ(前向きでワクワクした気持ち、気分)の高い人は、そうでない人よりも、創造力が3倍高く、実務が31%早くて正確に出来るなど、多くの実証データも報告されている学問です。

組織の人間が、前向きで活力に溢れていれば、気持ちよく仕事に向かうことができ、協働力も高まり、成果の出るチーム=柔軟で強い組織を生み出します。

日テレHRでは、ポジティビティの高い人に共通する4つの因子を前野教授監修のもと導き出し、成果の出るチームを実現するための<4つの力>を設定、可視化できるシステムを導入しました。(特許申請中)

このシステムを使うと、ディスカッション中にリアルタイムで自己の特性を認識することができ、チームの中で自分がどのようなキャラ・ポジショニングなのかも認識できるようになります。繰り返し意識していくうちに、全員が自分らしく、楽しくポジティブに会議に参加することができるようになるのです。そんなチームになれば必ず成果が出てきます。

「ドラマロールプレイ」は、いまあるチームの<チーム力>を高める研修メソッドです。

期待した成果がなかなか出ない、メンバーの入れ替えが多くチームビルディングが難しい時にも、処方箋となり得る「実践型チーム力 育成メソッド」です。

日テレ社員からのメッセージ

日本テレビはこれまで、余暇の時間を「楽しく豊かなものに」することを目指して、様々なエンターテインメントを作って来ました。これからは、「働く時間」も楽しく豊かなものにしたい。そんな思いでこの研修事業を進めています。人生の大半を占める「働く」時間。本来、仕事はワクワクしてやりがいがあって誰かと繋がる幸せな時間であると思います。それが環境や人間関係、その他いろいろなことで「幸せな時間」とは言えないものになっていることがある。

我々は、土台となる鍵を握るのは、コミュニケーションだと考えています。

自分らしく生き、他者を尊重しながら<共創>することを楽しみ、自分自身も、そして日本も、元気にする仕事を成す人が、一人でも増えることを目指しています。