• TOP
  • >
  • インタビュー
  • >
  • 【人事ニュース】マネージャーに求められる経営感覚とは日テレHRコンサルタント 川口優子

【人事ニュース】マネージャーに求められる経営感覚とは
日テレHRコンサルタント 川口優子

日テレHRコンサルタントによるリレーインタビュー第二弾は、川口優子さんをゲストにお迎えしました。川口さんはホテル業界からキャリアをスタートさせ、フィットネス業界では現場から管理職、店舗経営と幅広く経験されています。その中で「制度とは人の可能性を開花させるもの」や「上司が成長するから部下が成長」という考え方を導いています。川口さんにサービス業界で今求められる制度論や育成のあり方を伺いました。

サービス業の制度、仕組みづくりの大切さを伝えたい

――リレーインタビューVol.1の橋本祐造さんのお話では、日テレHRはこれまでの組織コンサルティングの範疇を超えた新しいものという話がありました。川口さんは日テレHRコンサルンタントとして、どんな役割を担っていきたいとお考えでしょうか?

川口:私はこれまでのキャリアを振り返ってみると、ホテル業界から始まってフィットネス業界での経験が長く、サービス業一筋でした。ですから私はサービス業に対する思い入れが人一倍強いです。サービス業の企業様の育成や採用、評価制度についてお力になれればと思います。このサービス業は市場規模がとても大きい市場です。きっと多くの企業様が課題を持っていたり、ビジョンを描いてらっしゃるはずです。

――川口さんはどういった支援の仕方が得意なのでしょうか?

川口:サービス業で働いている方は「人が好き」という思いが大前提にあります。でも、何かスキルが足りなくて、伸び悩んでいることが多いのです。つまり、キャリアの道筋が立てにくいという問題があります。現場でずっと働いていたいけど、このままで良いのだろうかと悩んでいる方も多いです。本当は現場の経験を生かして店舗経営やマネジメント、スペシャリストとして後進育成の道もありますし、可能性も選択肢もたくさんあることを広めていけたらと考えています。

――仰るように「サービス業」と聞くと現場でお客様と一対一で向き合うイメージが強くて、それ以外のキャリアが想像しにくいかもしれません。

川口:そうですよね。例えば店舗展開するということになったら、一人の経営者と同じような責任を急に担うようになります。そこで初めて体験することも多く、「私には向いていないかも」と考えてしまって挫折する人が多いのです。ここにはサービス業ならではの経営ノウハウやマネジメントの仕方を学ぶ必要があるはずです。

――現場から経営者やマネージャーになるにあたって、変化があるのですね。

川口:「壁がある」と言っても過言ではないかもしれません。これまでは接客や対面でのサービスが好きでいたのに、突然デスクワークも増えますし。確かに大きな変化ではありますが、現場での経験があるから能力はありますし、仕組みさえあれば誰でも経営やマネジメントのノウハウを身につけることは可能なのです。

――お客様と接していたら、気持ちを理解できますので優れた管理職にもなれますよね。

川口:そうなのです。サービス業に従事される方はアルバイト社員の方が多い業態も多いです。そのアルバイト社員の方を管理することは、高い能力ですよ。忍耐も技術も人間力も求められる仕事ですから。これは管理職に求められるベースとなるスキルでもあるのです。だから、サービス業に従事されている方は、すでに高度な仕事をしているということも伝えていきたいですね。

制度や仕組みがない組織は崩壊する

川口:私のキャリアはホテル業界から始まりました。そこで学んだことと言えば、制度がない組織がどうやって悪くなっていってしまうかということなのです。評価制度や教育制度がないまま、人だけを雇って組織化していくとどうなってしまうのかを間近で見ていました。

――具体的にどんな問題が発生するのでしょうか?

川口:ものすごい離職率ですよ。人がどんどん入れ替わることで、管理職も管理を半分諦めてしまい、好き嫌いで評価したりということが当たり前の環境になってしまいます。こういった組織ではありましたが、ホスピタリティへの興味は薄れませんでした。そう考えた時にフィットネスという業界を知り、アイレクスという会社でインストラクターとして働き始めました。私が転職した当時は二店舗しかない小さな会社でしたが、仕組みのレベルが桁違いでしたね。

――制度や仕組みの考え方が全く違う会社だったのですね。

川口:実は見学した際に全てのスタッフの接遇が素晴らしかった事で入社を決めたので、初めから「インストラクターになりたい」と思っていたわけではなかったです。アイレクスのスタッフ教育の仕組みのレベルの高さに心を動かされて、入社を決めたのです。研修もしっかりしていましたし、まだ二店舗しかない時から既に人事考課制度もありました。一社員と社長の面談も定期的にあり経営そのものの考え方が他のクラブとは全く違いましたね。

――仕事観も大きく変わりそうです。

川口:変わりましたね。インストラクターの仕事は一時間のプログラムを準備したり、そのために自分の身体づくりにもたくさんの時間を必要とします。アイレクスのメンバーは、自主的に朝早く会社に来ることもあれば、夜遅くまで働くこともありましたが楽しそうでした。私のそれまでの働く人のイメージは8時間の勤務が終わって「やれやれやっと終わった」という雰囲気で帰るものだったので「どうしてこの人たちはこんなに頑張れるのだろう」と当たり前のレベルの高さに驚きましたね。

現場からマネージャーになって感じる「壁」とは

川口:セールスマネージャー時代では、ジムの入会獲得をする仕事をしていました。私は意外とセールスが得意だったので「そのノウハウを展開してほしい」という話になり、社内で研修をするようになったのです。そこが講師業の始まりですね。

――どのように進めていったのでしょうか?

川口:まずは自分の周りのアルバイト五人くらいで小さいチームをつくることから始めて、少しずつ広げていきました。社員からも「研修をしてほしい」という話をいただいて、全体に広がっていきましたね。とはいえ、私は教える経験も本格的にはしていなかったので、教え方はその時から研究し始めました。

――現場の仕事と講師の仕事は性質が異なりますよね。

川口:そうですね。だから私は「そもそも人間を知る必要がある」と考えて心理学やコーチングなどを学びました。その効果もあって研修はうまくできましたし、それと同時に会社も大きくなり始めて良い循環を生み出すことができましたね。

――現場の仕事からマネジメントの仕事に変わるにあたっては壁があるという話がありましたが、川口さんは壁を感じることはありましたか?

川口:マネジメントの仕事を大きく分けると人の面と数値の面になりますよね。このどちらも解決するのがマネジメントになります。人の面は苦労しませんでしたが、数字は苦労しましたね。だからビジネス・ブレークスルーに大学に通いました。単科生として入学して、少しずつ学んでいきましたね。現場時代とマネージャー時代では、学ぶものも全く変わることが分かりました。

マネージャーと経営者を分ける「数値感覚」

川口:店舗の支配人としての経験は、私を経営者として育ててくれました。数字に対する意識ががらっと変わったのです。それまでは扱っても何百万円の世界でしたが、急に億の世界になるわけですよ。さらには「会社の資産を預かる」ことにもなりますから、それはやりがいがあると同時にプレッシャーもあったと言えますね。フィットネスは建物産業でもあるので、店舗を一つ建てるにも何億の投資が必要になるのです。

――初期費用がかさむビジネスモデルなのですね。

川口:街中で増えているファストジムは数千万円から始められます。でも複合型のプールもお風呂も、スタジオもジムもあるとなると費用はかさみますね。テナントならまだしも、土地から始めると5億、6億とかかる世界になります。

――そういった数字のプレッシャーに対してどのように立ち向かったのでしょうか?

川口:決算書などの数値を見るとどうしても恐怖が勝ってしまいます。だから、することを絞ったのです。支配人として約束することは決まっていて、それは経常利益です。後はサービスレベルも商品も決まっているので、そのためにいつ求人を出して誰を雇ってという人に関する仕事と、どんな販促を打つためにどの媒体を使うかというマーケティングの仕事を決めていきます。

――経営者としての仕事の中に、今の川口さんの仕事に繋がる育成や採用があったのですね。

川口:そうですね。最初はPLばっかり見てしまっていました。「この数字はどうしてこうなってしまっているのだろう」と計算したりするのですが、どんなに数字と向き合っても成果は出ませんでした。だからもう一度、自分の強みに立ち返るようにしたのです。元々接客サービスをしてきたのだから「もっとお客様が喜ぶことを考えよう」、「サービスレベルを上げよう」と発想を変えたら成果もついてきましたね。